http://www.ajiwai.com/otoko/zeal/baketuine.htm
日本の主食と言えば、もちろんお米です。春には、苗を植え、夏に穂が実り、秋に収穫する。田んぼが身近にあったときには、誰もが知っていた季節の移り変わりでした。都会育ちの人たちが増えた現在、改めて周りを見回したとき、どこに田んぼがあるというのでしょう。「ここは田舎じゃ、いなかじゃ」といってはばからない、この千葉市でさえ、田んぼをみるには、ドライブして郊外に足をのばす必要があります。最寄りの駅に行くことさえ禁止されている子ども達にとっては、田んぼを目にすることは、まずありません。
2002年に出版された「週末スローフード生活」の塩づくりの取材を受けた時に、「バケツ稲」なる、バケツで稲を育てるという方法があることを聞いていたので、いかに「種もみ」を入手しようかと思案していたところ、ひょんな事から、隣のケンジくんからもらい受けることができた。フフフッ、わくわくするぞーっ! 日本の主食を作ってやる!!! ヽ(^。^)丿
バケツ稲作りの材料リスト
バケツ稲の種
用意しておきたい器具
15リットル以上のバケツ(推奨 20リットル 10リットルでも可) 軟式野球のボール
すり鉢 精米用の瓶 精米用の瓶の口に入る棒
Let’s start!
作り方
1 【種もみ選び】本来4月下旬、今回6月14日 (^_^;
桜(ソメイヨシノ)が咲き始めると、そろそろ種まきの季節です。
種もみをもらい、ワクワクする親父(私本人)をよそに、米づくりを実際にやってほしい長男はなかなか興味を示さず、最初の作業(種もみを水に浸け、しばらく保管できるあたたかいところで観察)に、着手したのは、6月中旬。。。 (;_;)
みなさんへ助言です。いくら米づくりをこどもに体験させたい場合でも、最初はご自分で楽しいシーンを作り出して、観客として子どもを惹きつけましょう。 ヽ(^。^)丿
2 【芽だし】本来5月初旬、初日から5日目〜1週間後、今回6月18日
種もみを表面積の広いバットなどに入れた水に浸け、あたたかいところに置いたまま、毎日水を替えていると、3日目〜7日目くらいで芽がでてきます。
この芽だしをしている間にバケツに土の用意をしておきましょう。バケツにいっぱいまで土をいれ、バケツをわずかに持ち上げて、トントンと落とすと、土が締まり、5cmくらいの余裕ができます。
3 【種まき】
芽だしで、種もみから芽がでてきたら、いよいよ植え付けです。バケツの土の表面ヒタヒタまで水をいれ、7mmくらいの深さ(種もみ2つ分くらいの深さ)に、種もみを植えます。種もみは、あとで抜くことになるので、密集して植えないよーに!!
水が少ないので、こまめに水やりをして、ヒタヒタにしましょうね。
(今回は作業の都合上 6月23日にずれました)
4 【葉がでた】初日から10日目頃、今回6月27日
最初の葉がでてきます。元気になぁーれっ! と声をかけましょう。こころが伝わるかも。
5 バケツ全体に、ひょろひょろと芽がでているのがみえますでしょうか。
6 【田植え:苗の移し替え】本来5月中旬、初日から15日目〜20日目、今回7月3日
葉が3枚ほどに成長して、15cmくらいに伸びたら、苗を移し替えます。
7 今回7月11日
作業の都合上 苗の移し替え作業が1週間ずれ込んだだけで、こんなに成長してしまいました。 (^_^;
もうすっかり、雑草の様相、、、。
8 苗を抜くときには、手のひらをズブズブと、泥の中まで突っ込み、苗のまわりにある土をいっしょくたにすくい上げます。それでも今回はかなり成長していたので、ブチブチと根が切れる感触が…。 (゚o゚)ゲッ!!
9 【植付】
バケツから全ての苗を抜いたら、2〜3株を1つのかたまりにして、バケツの中心部へ植え付けます。植え付けの深さは、2〜3cmになるようにします。
10 バケツの真ん中に、ちょろっ (^_^;
水は5cmくらい溜まるようにします。
11 当然、たくさんの苗が余りますので、別のバケツを用意して、どんどん植え付けましょう。今回は5つのバケツを用意しました。
今後、常に水が不足していないかを確認し、足りないようなら水を補うようにします。
12 【分げつ】本来6月(田植えから20日目)、今回7月18日
5枚目の葉がでると同時に、葉のつけ根が分かれ、新しい茎が生えてきます。稲はこの分げつを、田植えから40日間ほど繰り返し、どんどん増えていきます。
13
暑い日が続いており、稲は日に日に成長しています。今年2004年の千葉では、かれこれ3週間以上、夕立含めてまともな雨が降っていません。でもバケツ稲だけは、たっぷりの水で涼し気。
14 【ボーフラ退治】今回7月25日
バケツによっては、ボーフラが繁殖。ここはバケツ稲のメリットを生かして、バケツを傾けて全ての水を捨て去り、ボーフラを流すこととしましょう。
土に潜り込んだボーフラも、新しい水をジョーロで勢い良く流して、一掃しちゃえっ。
ボーフラを流した後は、再び、水を5cmくらい深さまで注いでおきます。
あーっ、きれいさっぱりした。 ヽ(^。^)丿
15 【中ぼし】本来7月(田植えから40日〜60日目)、今回8月2日
バケツの中に溜まった水を捨て去り、中ぼしを開始。これから5日間は、表面がわずかにひび割れるくらいまで乾燥させ、土の中の水を少なくします。こうすることで、酸素を土の中まで行き渡らせ、一方稲の根は水を求めて深く伸びていくので、丈夫になるとか。。。分げつしすぎないようにするという目的もあります。
※5日を過ぎる前でも、稲に元気がなくなって、垂れてきたら、中ぼしを終了します
※田んぼでは2週間くらい実施するらしい。
16 【中ぼしの終了】本来7月、今回8月6日
稲が水不足で黄色く枯れたり、しおれることもなく、無事、中ぼしを終了。再び水を5cmくらいの深さになるように満たします。
稲は順調に育っています。
17 【幼穂(ようすい)】
8月になると稲穂の元になる幼穂が作られるので、あぶら粕(100g:ひとにぎり)など、養分となるものを加えてやります。(これを穂肥(ほごえ)といいます。稲セットを使われている方の場合は、ゆっくりと効果がでる肥料が入っているようです。同封されているマニュアルの指示に従ってください。)
虫も、このころつき始めます。葉っぱが丸まっていたら、小さな虫がいる可能性が大きいです。丹念に調べて、取り去っておきましょう。
18 【出穂(しゅっすい)】本来8月中旬、今回8月29日
田植え後、90日〜100日目に穂がでて、穂がでた翌日くらいに花が咲きます。朝の9時頃から2〜3時間で受粉し、花は閉じます(写真は雄しべを残して閉じた状態です)。
水は表面が浸る程度にします。
千葉県の中でも当地は、まるまる2ヶ月間雨らしい雨も降らず、晴天が続いたため、田植えから90日どころか、70日弱で出穂となりました。めでたしめでたし。
19 【スズメ対策】 今回9月5日
花が咲いた後、スズメ対策が必要になります。
スズメ除けには、写真のように網で囲ったり、キラキラ光るもの(スーパーの袋を短冊に切ったものなど)を稲の直上につるします。
20 【落水】
稲刈りをする7日前〜10日前くらいから、水やりはしません。
これを落水といいます。
21 【稲の収穫】
品種によって異なりますが、田植え後120日〜150日で収穫となります。穂がでてからの日平均気温の合計(積算温度)で、950度〜1100度です。
稲全体の8割程度が黄金色になったことを目安にします。どうしても稲穂の上ばかりに目がいってしまいがちですが、下の茎の方もみましょうね。 (^_^;
22 刈り取った稲は、束ねてから穂を下にして物干し竿などに吊して干します。
10日間ほど干すといいようです。干すことによってもみの水分を減少させ、もみの呼吸を少なくさせるのです。呼吸が少なくなれば、栄養分が減らずに済みますから…。
23 【脱穀】 方法その1
割り箸で挟んだりして、もみを稲穂からこそぎ取ります。
24 【脱穀】 方法その2
新聞紙を広げた上に稲穂を置き、茶碗で挟みます。稲穂を引っ張ってもみをこそぎ取ります。方法その1よりも簡単なように思えましたが、お好みの方法でどうぞ。
25 脱穀を終えたもみです。
未熟で青いのや、小さいのや、いろいろありました。
26 【もみすり】
もみをすり鉢に入れ、軟式野球のボールで摺ると、もみ殻が剥がれ、玄米になります。
テニスボールでもやってみましたが、黄色い糸がとれただけでなく、なかなか、もみ殻が剥がれませんでしたので、軟式野球のボールが良いようです。
27 剥がれたもみ殻をそうっと息を吹きかけて、とばします。
28 【選別】
もみ殻がついたままの米や未熟な青い米、割れた米、黒い米など、不良のものを選別して取り除きます。
29 【精米】
玄米をびんに入れ、棒でやさしくかつ、根気よくつつくと、精米できます。粉をふるいでふるって、お米だけにします。
30 さて、なん粒できたでしょう。
バケツ5杯からだと、1.4合となりました。
31 【炊飯】
お米を洗い、しばらくおいておきます。
市販されている白米のようにきれいにぬかをとりきれていないので、水に浸ける時間は、ちょっと長めがいいかも…。
32 【炊きあがり】
炊飯します。
獲れた米が1合にも満たない場合は、電子レンジでチンする方法もあります。
炊きあがりは、見かけ上ボソボソに見えます。もしかして失敗か!?
33 【できあがり】
できあがり分量は、茶碗によそうと、大人用に3杯と、子供用2杯になりました。けっこう満足の収穫量。
さあ、食べてみましょう。自分で作った米は、とっても感無量の味でした。 ヽ(^。^)丿
ここでの「こつ」
※1 【バケツ】
百円ショップで売っています。何件か回り、最大ものを5つ用意しました。でも、芽だしさせた種もみ全てから芽がでたので、本当は、8つくらいほしいところでした。でも8つのバケツが占領する日向を確保するのはムリ…。
※2 【種もみをもらい】
種もみは、下記参考文献中のJA全中さんの「バケツ稲づくりセット」を申し込むか、最寄りのJAに問い合わすかなどすれば、入手できます。
1.「バケツ稲づくりセット」は、4月頃に案内があるようで、日本晴れという品種の種もみが50粒ほど入ったセットのようです。
2.山形県農林水産部生産流通課が作成しているおいしい山形ホームページさんのバケツ稲づくりマニュアルのページでは、はえぬき種セットとなります。
※3 【毎日水を替えていると、3日目〜7日目くらいで芽がでて】
芽だしをやらずに、いきなり植え付けると、種もみが腐ってしまうことがあるので、きれいな水を取り替えながら、芽だしをしておくのです。芽が1ミリくらいでたところで、オッケーです。
※4 【ブチブチと根が切れる感触が…】
葉の長さ(高さ)以上の深さまで、根は伸びています。根を切ってしまわないよう、時期を逸さず、早めに植え替えましょう。ここに書いているように、できるだけ手を苗の下まで突っ込み、土をまるごと持ち上げるようにしましょう。苗の根元だけをつかんで、グイッと引っ張ると、それこそ目に見えないような細かい根がブチブチと切れていきます。
※5 【水は5cmくらい溜まる】
水を溜めることで、温度変化を和らげているのです。また、田んぼの場合には、雪解け水を利用することもできるので、雪解け水に含まれている豊富な養分を利用しているわけです。
※6 【スズメ除けには、写真のように網で囲った】
ユニディで、30mm格子の網目で、3.6m×3.6mの製品を700円くらいで購入しました。
実際に張り上げたときのサイズは、高さは2m以下になりましたので、本来正方形になるべき格子が、長手方向に変形し菱形になり5mとなりました。つまり、できあがりサイズは、2m×5mということになります。(5mの長手方向は、「ロの字」形にしましたので、横幅の実行寸法は、2mです。)
※7 【積算温度】
例えば、積算温度1000度とは、1日のなかの平均気温で25度の日が40日間となります。雨などで気温が上がらず、20度の日が10日あれば、20度×10日+25度×32日=1000度となりますので、穂がでてから42日を要すことになります。今回は、最初の出穂後36日目の10月3日に積算温度が1,000℃を越え(青色のグラフ)、稲刈り時の積算温度は、1,118℃でした。
ちなみに1週間後にでてきた穂の場合(ピンク色のグラフ)は、積算温度が少なくなります。注意しましょう。
※8 【穂を下にして物干し竿などに吊して干します】
もみも呼吸をしています。水分量が多いと、この呼吸が活発のままとなるため、エネルギーを消費してしまい、お米の味の低下につながります。このため、干すことによって水分量を減らし、お米が長い間おいしさを保てるようにするのです。
※9 【お勧めコーナー】
週末スローフード生活 (小学館文庫) バケツ稲―12ヵ月のカリキュラム バケツ畑で野菜づくり トマト バケツ畑で野菜づくり ジャガイモ カラスや迷惑鳥の被害対策に!【鳥害 本物ソックリカラス イヤガラス 1匹】