チェルノブイリ原発事故「参考」にしてください

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    http://cnic.jp/modules/news/article.php?storyid=345



     チェルノブイリ原発事故 : チェルノブイリからの放射能汚染によりスウェーデンでガンが増えている?(『通信』より)
    投稿者: 原子力資料情報室 投稿日時: 2006/4/1 18:48:00 (2921 ヒット)

    チェルノブイリからの放射能汚染によりスウェーデンでガンが増えている?

    京都大学原子炉実験所 今中哲二

    『原子力資料情報室通信』381号掲載(図表略)


     昨年9月、IAEAやWHOなど国連8機関とウクライナ、ベラルーシ、ロシア各政府の専門家で構成されている「チェルノブイリ・フォーラム」が、事故から20年を総括する国際会議をウィーンで開催した(1)。その記者会見の内容を日本の新聞各紙は、「チェルノブイリ原発事故による総死者4000人」という見出しで報道した。それをみて私は一瞬、「これまで事故で亡くなった人が4000人」という話かと思ったが、記事を読むと、「これからガンでなくなる人を含め、事故で死亡する人が全部で4000人」ということであった。各紙は、「従来言われていた数字に比べて大幅に下回った」と報じていたが、私としては、「ずいぶん値切ってきたな」と感じた次第である。

     早速、IAEAのホームページから報告書と資料をダウンロードし、「新たな評価」なるものの中味を調べてみた。まず4000人の内訳であるが、これまでに確認されている死者約60人(急性放射線障害死28人、急性患者でその後に亡くなった19人、子ども甲状腺ガンの死者9人)で、晩発性影響であるガン死が3940件ということであった。ガン死の検討対象となっているのは、1986〜87年の事故処理作業者20万人(平均被曝量100mSv)、事故直後の30km圏避難住民11万6000人(同10mSv)、高汚染地域住民27万人(同50mSv)を合わせた約60万人である。10年前のIAEA会議でのガン死数見積りは約9000人であった。結局わかったことは、今回の4000人という「新たな評価」は新たなデータや被曝量評価に基づいたものではなく、単に、前回の9000件という数字から今回は検討対象から除かれている汚染地住民680万人(同7mSv)についてのガン死5000件をさっ引いただけ、ということだった。

     私たちが、チェルノブイリ事故直後の1987年に、旧ソ連やヨーロッパ各国の汚染データを集めて評価した将来のガン死数は13万〜42万件であった(2)。私たちの19年前の評価は、低レベル汚染地域を含む旧ソ連ヨーロッパ部7450万人(平均被曝量20mSv)とヨーロッパ各国4億9000万人(同1.5mSv)を対象としたものである。チェルノブイリ・フォーラムと私たちの評価は、ガン死数を見積もる方法はどちらも似たようなものである。最も大きな違いは、どこまでの人々を対象とするかという、チェルノブイリ事故を考える際の想像力の違いである。

     もともと人々の4分の1がガンで死亡することを考えると、40万件のガン死が出るとしても、ヨーロッパのような低レベル汚染地域でそれを実際のデータとして観察することは無理だろうと思っていた。しかし、そのような判断が誤りであったかも知れないことを示す論文が一昨年の秋、イギリスの公衆衛生疫学の専門誌に発表された。スウェーデンの汚染地域でのガン増加を報告したトンデル論文である(3)(4)。その概要を紹介する。

    トンデル論文

     チェルノブイリ原発で大事故がおきたことを世界が知るようになるきっかけは、1986年4月28日早朝にスウェーデン南部のフォルスマルク原発で環境放射線モニターに異常な放射能が検出されたことであった。スウェーデン政府の問い合わせを受けてソ連政府はその日の夜、チェルノブイリ原発で26日に事故がおきたことを認めた。スウェーデンには、4月28日から29日にかけて降った雨がかなりの汚染をもたらした。旧ソ連被災3カ国の法令に従えば「汚染地域」と指定される、セシウム137の汚染レベル1平方m当り37kBq以上の面積は、スウェーデンで1万2000平方kmに達した。

     スウェーデン・リンコピング大学病院の公衆衛生疫学トンデルらのグループは、チェルノブイリからの放射能によって、スウェーデンの汚染地域でガンが増加するかどうかを調べてみようという大胆な疫学研究を企画した。スウェーデンには、そのような調査に取り組むための基本的な条件が整っていた。すなわち、詳細な汚染測定データ、正確な住民登録、それに確かなガン診断登録制度である。

     トンデルらはまず、スウェーデンの中部・北部で汚染を受けた7つの州を調査対象に選び、スウェーデン放射線防護局が作成したセシウム137の汚染地図を用いて、行政の最小単位である「地区」を6つの汚染レベルに区分した(図1)。次に、7州の住民登録を基に、1986年に60歳以下であって、1985年12月31日と1987年12月31日に同一住所に登録されていた住民すべてを対象集団として選び出した(ガン発生率の大きい高齢者を除外することにより、調査集団のガン発生バックグランドを小さくした)。その結果、性別、年齢、先行する2年間の居住地に関する情報を備えた、114万3182人の固定追跡調査集団が得られた。

     スウェーデン・ガン登録データを基に、1988年から1996年の9年間に調査集団で発生したガンを調べると、全部で2万2409件のガン発生が見つかった。調査結果は表1にまとめてある。「相対リスク」とは、最低汚染レベル(<3 kBq/m^2)を「非汚染地域(対照群)」とみなし、その区分でのガン発生率を1として、他の汚染レベルでの発生率を比較した値である。

     95%信頼区間というのは、観察データを基に「真の値」がその区間のどこかにあるだろうと統計的に判断できる範囲である。もしも、相対リスクの信頼区間域が1以上であれば、そのグループのガン発生率は基準グループ(対照群)に比べて「統計的に有意に大きい(偶然におきたのではない)」と言うことができる。表1からわかるように、いずれの汚染レベルの相対リスクも信頼区間に1を含んでおり、個別の汚染レベルでは、基準グループとの間で統計的に有意な違いを示していない。

     しかし、表1の値をよく眺めると、汚染レベルとともに相対リスクが次第に大きくなる傾向が認められる。トンデル論文でもっとも注目されるのは、「相対リスクの変化傾向」を調べた結果で、表1の右下にある0.11(0.03-0.20)という値である。この値は、「セシウム137汚染100kBq/m^2当り過剰相対リスク」を示している。この値の95%信頼区間域がゼロより大きいことは、セシウム137の汚染レベルとともにガン発生率が「統計的に有意に」増えていることを意味している。

     図2は、表1の相対リスクを図にプロットしたものである。「統計的に有意」といった用語を出さなくとも、セシウム汚染レベルとともにガン発生の相対リスクが増えているようすが、きれいに見て取れる。トンデルらは、ガン発生率増加の原因が本当にチェルノブイリからの汚染であるなら、114万人を対象に1988〜96年の間に観察された2万2409件のガンのうち、849件がチェルノブイリからの放射能汚染によるものだ、と見積もっている。

    見せかけ因子の検討

     疫学調査とは、生身の人間集団をいくつかに分け、それぞれの集団の観察結果を比較して、ある要因(ここではセシウム137汚染レベル)とその影響(ガン発生)との関係を明らかにしようとする試みのことである。しかしながら、ガンを発生させる要因には、放射能汚染だけでなく、喫煙、食習慣などいろいろあってそれらが複雑に絡みあっている。したがって、疫学調査結果に統計的に有意な「相関関係」があっても、それが「因果関係」であるとは限らない。

     トンデルらも、自分たちの調査結果が「見せかけ因子(交絡因子)」によるものかも知れないと検討している。彼らが考慮した見せかけ因子は、人口密度、元々のガン発生率地域差、および喫煙である。表1の相対リスクは、それらの見せかけ因子について補正済みの値である(人口密度は相対リスクに最大で10%影響、元々の地域差の補正には1986〜87年のデータを利用、喫煙については肺ガンのみの解析結果を利用)。解析結果に大きな影響をもたらすような「見せかけ因子」は認められていない。
     結局、チェルノブイリ事故による放射能汚染レベルとガン発生率の増加に有意な関係が認められ、その原因として第1に考えられるのが、汚染にともなう低レベル放射線被曝である、というのがトンデル論文の結論である。

    トンデル論文の意味

     昨年9月、アルメニアのエレバンで開かれた放射線生物学エコロジーの小さな国際会議に筆者が参加してみると、偶然トンデルも参加していて、彼の論文について詳しく議論する機会があった。論文を発表するに際しては、いろいろと曲折があって苦労したらしい。

     トンデル論文でまず気になるのは、被曝量を評価していないことである。中途半端に被曝量を評価すると、論文審査員に揚げ足を取られる材料になるので、今回の論文ではあえて省いたようだ。筆者の大ざっぱな見積もりでは、100kBq/m^2のセシウム137汚染があったとして、はじめの2年間で受ける被曝量は10〜20mSv程度であろう。表1の100kBq/m^2当り0.11という過剰相対リスクをSv当りに変換すると、1Sv当り5〜10の過剰相対リスクになる。広島・長崎被爆生存者の追跡調査データでは1Sv当り約0.5なので、トンデルらはその10〜20倍のリスクを観察したことになる。この違いについてトンデルは、10mSvといった低レベル被曝では被曝量・効果関係が直線ではなく、極低レベルで効果が大きくなるモデルを仮説として考えていた。

     トンデル論文のもうひとつの論点は、放射能汚染が起きて2年から10年後という比較的短期間にガンの過剰が観察されていることである。トンデルによると、放射線がガンを引き起こすプロセスにはいろいろあって、低レベル被曝の場合は、前ガン状態にある組織に対するプロモーション(促進)効果が大きいのかも知れないとのことであった。

     トンデル本人も筆者も、チェルノブイリからの放射能汚染によってスウェーデンでガンが増えていることが「証明された」とは考えていない。それが、本稿の表題に?が付いている所以である。同時に、まどろっこしい言い方になるが、スウェーデンでのガン増加の原因はチェルノブイリ事故による放射能汚染である、と考えるのが最も合理的な説明であると思っている。

     スウェーデンの汚染地域114万人の間に850件のガンが増えたのであるなら、旧ソ連を含むヨーロッパ全体では、その100倍として約8万件のガンが増えたであろう。そして、今後増える分を含めて、全部でその10倍のガンが発生するとするなら、チェルノブイリ事故によってヨーロッパ全体に80万件のガンがもたらされる、と言ってもよいであろう。

    (1)振津かつみ、『原子力資料情報室通信』 No.379 2006年1月.
    (2)瀬尾健ほか、京都大学原子炉実験所第21回学術講演会 1987年3月.
    (3)M.Tondel et al. J Epidemiol Community Health 2004 ; 58 : 1011-6.
    (4)M.トンデル 『科学・社会・人間』 No.95 : 3-7 2006年1月.

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